はじめに:「編集」はストーリーを完成させる仕事
カメラで撮った素材は、まだ“素材”でしかありません。
編集を通して、伝えたいメッセージ・感動・情報が整理されて初めて、「作品」として完成します。
本マニュアルは、これから映像編集を本格的に学びたい方や、編集代行などで実務を始めたばかりの方が「迷わず進める」ように設計されています。
第1章:編集作業の流れを全体でつかもう
● 編集の基本工程(全体像)
- データの整理・読み込み
- 必要なカットを選ぶ(素材選び)
- 順番に並べて構成を作る(編集)
- テロップやBGM、効果音を入れる(演出)
- 色や音を整える(調整)
- 完成データを書き出す(納品)
🔰 ポイント:編集は「設計図を作ってから組み立てる」イメージで進めるとミスが減ります。
第2章:素材の整理とプロジェクトの準備
● フォルダ構成の基本
まず最初に、編集するための素材データをきちんと整理しましょう。例:
arduinoコピーする編集する/project_kids_movie/
├ movie(動画素材)
├ audio(音声素材)
├ image(写真やロゴ)
├ music(BGM・効果音)
├ project(Premiereなど編集ファイル)
└ export(書き出しデータ)
● 編集ソフトの準備(Premiere Proなど)
- プロジェクトを保存する場所と名前を決めてからスタート
- フレームレート(29.97fpsなど)や解像度(フルHD/4K)を、素材に合わせて設定
第3章:カット編集 ― いらない部分を取り除こう
● カット編集とは?
素材の中から「使える場面」「伝えたい場面」だけを抜き出して、順番に並べる作業です。
初心者は、**まず「映像の意味が通じる順番にすること」**を意識すればOK!
● カット編集の進め方(Premiere例)
- タイムラインに素材を並べる
Cキー
でカット →Vキー
で選択し、不要部分を削除Ripple Delete
で隙間を詰める
● 注意ポイント
- 映像の始まりと終わりは、0.5~1秒程度の「余白(バッファ)」を入れると見やすい
- 人物が話し始める「直前」から入れると自然
第4章:テロップ・字幕の入れ方(基本編)
● テロップの役割
- 内容を補足する(ナレーションや会話)
- 視聴者の注意を引く
- 画面に情報を固定しておく(商品名・名前など)
● テロップ作成の基本ルール
- フォント:ゴシック体が読みやすく、業務向け(例:源ノ角ゴシック/ヒラギノ角ゴ)
- 色:白文字+黒縁取りが基本(背景が明るい場合はシャドウあり)
- 表示時間:読むのに十分な秒数(1行=約2秒目安)
🔰 ポイント:Premiereの「グラフィック → テキストツール」で簡単に挿入できます。
第5章:BGM・効果音で“感情”を演出する
● BGMの選び方
- 明るい・元気な雰囲気 → アップテンポ曲
- 感動的な雰囲気 → ゆっくり・ピアノ中心
- テンポに合ったBGMを選ぶと「映像が生きる」
● 音の基本操作(Premiere)
- 音量を下げる:タイムライン上で
オーディオゲイン -10dB
など - フェードイン・アウト:キーフレームを使って滑らかに音を出入りさせる
🔰 注意:BGMがセリフよりも大きいと、内容が伝わりません。音のバランスはこまめに調整!
第6章:カラー補正・明るさ調整(初心者向け)
● なぜ色を調整するの?
- カメラによって色合いが違う
- 部屋の光で全体が黄色く見えることもある
- 見づらい・暗い映像を改善できる
● 基本の操作(Lumetriカラー)
- 明るさ(露出)を調整
- 色温度(WB)で「青っぽい/黄ばみ」を修正
- コントラストを少し上げると引き締まる
🔰 まずは「白が白く見えるか?」を意識すると、色補正の迷いが減ります。
第7章:書き出しと納品方法
● 基本の書き出し設定(Premiere)
設定項目 | 推奨値 |
---|---|
形式 | H.264(.mp4) |
解像度 | 1920×1080(フルHD) |
フレームレート | 撮影と同じ(29.97など) |
ビットレート | 10〜20Mbps(標準Web向け) |
オーディオ | AAC 48kHz 320kbps |
● ファイル名の付け方
例:kids_event_0526_v1.mp4
(案件名_日付_バージョン)
● 納品時のマナー
- クラウド納品(Google Drive/ギガファイル便など)
- 必ず一言「ご確認ください」+ファイル名明記の連絡を添える
- サムネイル画像を一緒に付けると親切
第8章:中級者向けステップアップポイント
● テンプレートを作ろう
- よく使うテロップ・ロゴアニメーション・BGMをテンプレ化
→ 毎回探す手間を減らせます
● 修正対応の準備
- タイムコードをメモしながら編集すると、修正指示にもすぐ対応できる
- クライアントには「修正指示フォーマット」(例:00:01:12〜 〇〇に変えて)を送ってもらうとスムーズ
最後に:上達のコツ
- 最初は真似ることから始めてOK(YouTubeやTV番組など)
- テロップの出し方、音の入り方、切り替えのタイミングを「観察」する習慣を持とう
- 1本作ったら、必ず「見返して改善点をメモ」する
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