🎥 テレビ業界用語集【全100語】

撮影（20語）

1. バミリ
   　出演者や機材の立ち位置を床にテープなどでマーキングする作業。リハーサルでの再現性を高めるために行う。
2. カメラリハ
   　本番前にカメラを実際に回し、動きや切り替えの確認を行うリハーサル。
3. ENG
   　”Electronic News Gathering”の略。ニュース撮影などで使われる小型の取材用撮影スタイル。
4. ワンマン
   　カメラマンが撮影・音声・照明などを一人で行うスタイル。小規模現場で多用。
5. ロケ
   　スタジオ以外での撮影。屋外や施設内など、自然環境下での撮影を指す。
6. スタビライザー
   　カメラの手ブレを防ぎ、滑らかな映像を撮るための機材。ジンバルとも呼ばれる。
7. シャドー
   　被写体に落ちる影。照明の調整で意図的に作ったり、排除したりする。
8. パン
   　カメラを水平方向に動かす撮影技法。周囲の風景を見せる際などに使われる。
9. ティルト
   　カメラを上下方向に動かす技法。全身撮影や高さのある被写体の紹介に用いる。
10. フォーカスイン
    　ぼやけた映像から、特定の被写体にピントを合わせる演出技法。
11. ズームイン
    　レンズ操作で映像を拡大し、被写体に寄る演出。
12. ズームアウト
    　ズームインとは逆に、被写体から引いて全体を見せる演出。
13. フィックス
    　固定カメラ。カメラを動かさず、安定した映像を撮影する手法。
14. 被写界深度
    　ピントが合っているように見える範囲。浅いと背景がぼけ、深いと全体にピントが合う。
15. ホワイトバランス
    　光源に応じた色温度を調整し、白を自然に見せる設定。
16. ロングショット
    　遠景から人物や背景を広く見せる構図。
17. ミディアムショット
    　人物の腰から上など、中距離で撮るショット。会話シーンなどに用いられる。
18. クローズアップ
    　顔や物の一部などを画面いっぱいに映す撮影技法。感情表現に有効。
19. カメラワーク
    　カメラの動かし方全般。演出意図に応じてさまざまなパターンがある。
20. 絵コンテ
    　シーンごとの構図やカット割りを絵と文字で説明した設計図。

音声ジャンル（21〜40）

21. ガンマイク
    　指向性（前方の音を集中して拾う性質）が非常に高いマイク。カメラの外から話者の声をピンポイントで拾うため、ドラマ・ロケ・インタビューなど幅広い現場で使われる。
22. ピンマイク
    　服や体に取り付ける小型の無指向性マイク。出演者のセリフを安定して収録でき、バラエティや報道、ドキュメンタリーで多用される。
23. フィールドミキサー
    　ロケやスタジオ収録で使用される、音声信号を調整・ミックスする装置。複数のマイク入力を扱う場合や、レベル調整に用いられる。
24. ノイズ
    　録音中に混入する不要な音。例：風の音、衣擦れ、機械音など。映像のクオリティを左右するため、可能な限り除去・低減が求められる。
25. 音声チェック
    　本番前にマイクや録音機材が正しく機能しているかを確認する作業。話者の声量や収音範囲をテストする重要工程。
26. レベル調整
    　音の大きさ（dB：デシベル）を適切に保つための作業。小さすぎず大きすぎないバランスが必要で、録音段階・編集段階ともに行われる。
27. ナレーション録り
    　スタジオなどでナレーション音声だけを別録する工程。後編集（MA）時に挿入されるため、クリアな音質が求められる。
28. 環境音
    　現場の自然な背景音。風の音、街の喧騒、鳥のさえずりなど。映像にリアリティと臨場感を加える。
29. ライン録り
    　マイクを通さず、音源機器（ミキサー・音響装置など）から直接音声信号をケーブルで収録する方法。劣化の少ない高音質収録が可能。
30. リミッター
    　一定の音量以上を自動的に抑制し、ピークオーバー（音割れ）を防ぐ機能。録音時の安全装置的な役割を果たす。
31. リバーブ
    　音に残響（エコー）を加える効果。演出上の空間感や広がりを演出するために使用される。
32. サウンドチェック
    　収録前の音確認作業。マイク・ミキサー・レコーダー・スピーカーなどすべての音声系統を事前にチェックする。
33. SE（サウンドエフェクト）
    　効果音全般を指す。例：ドアの開閉音、足音、銃声など。演出意図に合わせて編集段階で追加される。
34. サラウンド
    　複数のスピーカーで立体的な音響空間を作る方式。5.1chや7.1chなどがあり、映画や高品質なテレビ番組で使用。
35. 音割れ
    　音が大きすぎることで、マイクや録音機材の限界を超えて歪んでしまう状態。修復が難しいため録音時の注意が必要。
36. 音抜け
    　マイクの接触不良、バッテリー切れ、設定ミスなどにより、一部または全体の音が収録されていない現象。
37. マイクセッティング
    　マイクの設置場所・角度・距離を最適化する作業。録音の質に直結するため、事前の現場確認が重要。
38. イヤーモニター
    　演者が収録中に自身の声や音楽をリアルタイムで聴くための機器。ライブや音楽番組でよく使用される。
39. ヘッドフォン
    　音声スタッフが録音中の音を正確にモニタリングするために使用。遮音性・解像度の高いものが選ばれる。
40. バウンス
    　複数の音声トラックをまとめて1つの音声ファイルに書き出す処理。MAやナレーション編集の終盤で使われる。

照明ジャンル（41〜60）

41. キーライト
    　主光源。被写体を最も強く照らす基本のライトで、顔の立体感や方向感を作る役割がある。
42. フィルライト
    　キーライトでできた影を和らげるための補助光。柔らかい光で、影の濃さを調整する。
43. バックライト
    　被写体の後ろから照らす光。輪郭を浮かび上がらせ、背景と人物を分離させる効果がある。
44. トップライト
    　上方から照らす照明。自然な日差しに近く、舞台やスタジオでの使用が多い。
45. フロントライト
    　カメラと同じ方向から照らす光。影をなくし、フラットな印象にする。
46. スポットライト
    　特定の範囲だけを強く照らす照明。主に人物や物体を目立たせる演出に用いる。
47. ディフューザー
    　光を柔らかく拡散させる素材や装置。影を和らげ、自然な質感を作る。
48. レフ板
    　光を反射させて補助光として使う板。自然光下やロケ撮影でよく使われる。
49. 照度計
    　光の強さを数値化して測定する機器。撮影前の明るさチェックに使用。
50. 色温度
    　光の色味を示す単位（K：ケルビン）。高いと青白く、低いと赤みを帯びる。照明とカメラのホワイトバランスに影響する。
51. バウンス照明
    　壁や天井などに光を反射させて間接的に照らす手法。自然で柔らかい光を得られる。
52. カラーフィルター
    　照明に取り付けて光の色を変えるフィルター。演出や色温度調整に使われる。
53. 照明プラン
    　照明の配置・光量・色味などを事前に設計する計画書。ロケやスタジオの演出意図に応じて作成される。
54. ライトスタンド
    　照明機材を支えるスタンド。高さや角度の調整が可能で、安全性も重要。
55. ハレーション
    　強い光がレンズ内で反射し、画面に白くにじむ現象。照明の位置や光量に注意が必要。
56. NDフィルター
    　光量を減らすためのフィルター。日中の屋外撮影などで、露出オーバーを防ぐために使用。
57. グリッド
    　照明の拡散を抑え、特定の範囲にだけ光を当てるアクセサリ。スポット効果や引き締まった印象を作る。
58. リモコン調光
    　リモコンで照明の明るさや色温度を遠隔操作する機能。効率的なライティング調整に便利。
59. バッテリー照明
    　電源が取りづらいロケ先などで使う、充電式バッテリー内蔵の照明。持ち運びに便利。
60. ライティングディレクター（LD）
    　番組や舞台における照明の責任者。演出の意図に沿って、光の設計・操作を統括する。

放送・中継ジャンル（61〜80）

61. オンエア
    　番組やCMが実際にテレビで放送されること。本番の放送時間帯を指し、放送事故防止のため細心の注意が払われる。
62. タイムテーブル
    　放送局が定めた番組の放送スケジュール。各番組の開始・終了時刻が決まっており、編成の基本となる。
63. ライン送出
    　収録した素材や中継映像を、放送ラインに流してオンエアすること。送出オペレーターが制御する。
64. CMブレイク
    　番組の途中に設けられるCM挿入のタイミング。番組の構成上、内容の区切りや盛り上がりに合わせて入れられる。
65. 同時中継
    　複数の放送局で同じ番組やイベントをリアルタイムで放送すること。例：スポーツ大会、会見、音楽イベントなど。
66. サイマル放送
    　テレビ放送とインターネット配信などを同時に行う放送形式。近年、地上波×ネット展開が増加している。
67. 遅延放送（ディレイ）
    　リアルタイムではなく、一定時間遅らせて放送する方式。放送トラブルや規制対応、海外中継などで活用される。
68. 中継車
    　屋外イベントなどの現場から映像・音声を放送局に送るための特殊車両。機材を多数搭載し、移動式のミニスタジオともいえる。
69. SNG（衛星中継）
    　衛星通信を利用して遠隔地から映像・音声を送る方法。山間部・災害地・海外などでもリアルタイム伝送が可能。
70. 中継ポイント
    　中継カメラや音声収録が設置される位置。現場のどこをどう見せるか、事前のリサーチが重要となる。
71. 回線チェック
    　放送前に中継回線や送信機器が正しく動作するか確認する作業。音声・映像・同期など多岐にわたる。
72. マスター
    　放送全体を統括する中枢システム。各番組やCMの送出タイミング、回線の切替などを管理・操作する。
73. サブ（サブコントロールルーム）
    　番組の技術オペレーションを行う中枢室。スイッチャー、音声卓、テロップ機、VE（ビデオエンジニア）などが集結する。
74. フロアディレクター（FD）
    　スタジオ内での出演者やスタッフとの橋渡し役。サブからの指示を現場に伝え、進行を円滑に行う。
75. カウントダウン
    　本番直前の秒読み。「5・4・3・2・1・キュー！」などで本番開始を合図する。
76. テストパターン
    　放送機器の動作確認用に使う映像・音声信号。試験放送やメンテナンス時に表示される。
77. 放送事故
    　映像・音声の途切れ、無音、無画面、不適切表現の放送など、通常通りの番組進行ができない事象。
78. BGM送出
    　本番中や待機時間に流す音楽を制御・送出すること。演出意図やタイミングに合わせて調整される。
79. モニターチェック
    　放送されている映像・音声を、リアルタイムで複数のモニターで確認する作業。画質・音量・構成に異常がないかを常に監視。
80. テロップ挿入
    　番組内に文字情報（出演者名・発言・速報・字幕など）をリアルタイムまたは編集で挿入する作業。視覚的な補足や演出の要素。

番組制作ジャンル（81〜100）

81. 企画書
    　番組の概要や目的、ターゲット、構成案、放送枠などをまとめた提案書。制作会議でのプレゼンや予算獲得に必要不可欠。
82. 構成台本
    　番組全体の流れや演出意図、出演者のセリフ、VTRの挿入箇所などを記載した台本。構成作家やディレクターが作成。
83. ロケハン
    　本番前に撮影候補地を下見する作業。照明や音声の状況、許可関係、動線などを確認しておく。
84. 香盤表
    　撮影・収録におけるスケジュール表。出演者やスタッフの入り時間、撮影順、場所などを詳細に記載。
85. 進行表
    　番組の収録・放送における分単位のタイムスケジュール。サブやフロア、出演者に共有され、時間管理の基礎となる。
86. VTR
    　ビデオ収録された映像素材。番組内で使用する事前収録映像や、再現映像、街頭インタビューなどを指す。
87. オープニング（OP）
    　番組の冒頭に流れる導入部分。テーマソング、タイトルロゴ、出演者紹介などを含み、番組の第一印象を決定づける。
88. エンディング（ED）
    　番組の最後に流れる締めの部分。提供クレジットやエンドロール、エンディング曲などが含まれる。
89. ナレーション
    　番組における説明や演出のための語り。収録済みのVTRに後から音声を追加することが多い。
90. アオリ
    　番組やVTRの見どころを、誇張気味に紹介・演出すること。視聴者の期待感を高める目的で使用される。
91. インサート
    　本編の流れの中に差し込む短い映像やカット。商品紹介、反応カット、イメージ映像などで使われる。
92. 仮編集
    　編集初期段階の粗い繋ぎ。ナレーションやBGMなしの状態で、構成やテンポの確認を目的とする。
93. 完パケ（完成パッケージ）
    　放送にそのまま使用できる最終完成版の映像。ナレーション・テロップ・BGM・SE（効果音）などすべてを含む。
94. 差し替え
    　納品後に一部の映像や音声を新しい素材に入れ替える作業。放送直前に行われることもある。
95. 事前収録
    　放送前に収録された番組やコーナー。編集可能なため、失敗をカットしたり、演出効果を加えやすい。
96. 生放送
    　リアルタイムで放送される番組。ミスが許されず、スタッフ全体の連携と時間管理が極めて重要。
97. 収録立ち会い
    　ディレクターやクライアントなどが撮影現場に同席し、演出や進行の確認を行うこと。
98. チェックバック
    　仮編集や完パケなどを関係者に確認してもらい、修正点や承認を得る工程。複数回行うことが一般的。
99. 編集指示書
    　編集担当に向けて、カットの順番やテロップの内容、BGMの指定などを記載した資料。映像の仕上がりを左右する重要書類。
100. 試写
     　完成した番組を関係者で視聴すること。修正点の確認や放送前チェックとして行われる。